悪夢の院内運動会

悪夢の打ち上げ㉗

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とにかく、パウダールームにて自分の手を清める事に心血を注いだ。

 

こういう時ほど、技官にありがちな細かい性格が邪魔をする。服についたほんの小さなシミさえ目に入って仕方が無いからだ。

 

 

なんでオレばっかりこんな目に・・・

 

 

これは、ぜひとも愛子さまに落とし前つけてもらわなアカン、と思いつつ湧き上がる怒りを抑えながら部屋に戻った。

 

 

 

<汚物のお戻りで~す♡>

 

 

こういう時には、必ず茶化す人間がおるもんや。

 

 

・・・あまり人の不幸を笑いモンにしたらアカンで。

 

なぜなら他人の不幸を期待する人間には、それ以上の不幸が降臨するって相場は決まっとるからや。

 

 

知らんけど。

 

 

 

しかしそれにしても、部屋の空気がザワついている。

 

 

愛子さまはどこに行ったんや?と思い周囲を見回したところ、ソファで熟睡している。

 

 

スヤスヤ眠り姫や。

 

 

もちろんこのまま放っとく訳にもいかん。愛子さまをどないするかで、議論が交わされている。

 

 

 

<もーこうなったら、オールでカラオケや!>

 

『いや、さすがにみんなグロッキーです。とてもじゃないけど、これ以上はムリムリ探険隊ですよ。』

 

 

まさしく不毛な議論が交わされている。

 

 

 

しかし、朝まで全力でカラオケした後の、あの抜け殻のような気持ちを久しぶりに思い出した。

 

あれはあれで、愛おしい時間やったな。

 

 

知らんけど。

 

 

 

<・・・よっしゃ、近くのホテルで寝てもらおか!>

 

『それでエエと思うわ。で、女性スタッフを一人ないし二人、手配してちゃんちゃんや。』

 

 

これでようやく丸く収まるわ。と思い、女性スタッフから有氏を募る。

 

しかし・・・肝心の女性スタッフが皆帰りたい、て言いだした。

 

 

もー帰る、て言い出した。もう聞く耳ナシコちゃんや。

 

もー帰るんでタクシー代下さい、て大合唱や。

 

 

ここへきて、バブルへGOかいな。しょーもないパリピと合コンしてるみたいな気分になってきた。

 

 

 

<遅くまで無理に連れ回された、て言われたら後が難儀やんけ。だから、帰宅希望者全員に、家の場所聞いてきて。タクシー代払うわ。>

 

「とんだ性善説じゃないですか。どれだけウソの申告してくるか、分からんやないですか。領収書持って来させて後払いでエエんちゃいますか?」

 

<あいつらにとって大事なのは、明日の一万円より今日の五千円なんや。>

 

「エエようにカモられてるじゃないですか。意識高い系は何かと大変ですね?」

 

<大きなお世話や。>

 

「まあ何でもエエんですけどね。それより、あの娘はどうしますの?」

 

<院長が絡むとあらぬ噂が立つ。残った勤務医が連れて行かなアカンやろ。>

 

「結局、女は残らずですか。友達を放置プレーじゃないですか。こういう時は薄情なヤツらですよね、都合のエエ時だけオンナの武器使うの止めて欲しいですよ。」

 

<・・・時代に逆行する事言わんといてくれるか?あちこちから苦情の嵐やったらどないすんねん。>

 

「コンプライアンス違反しとる訳じゃないですし。ジェンダーやらヴィーガンやらの言う事いちいち真面目に聞いてたら、調子こいてどんどん浸食されるだけですよ。」

 

<・・・>

 

 

今はそんな事より、愛子さまをどうするかや。

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