保険算定部

「取り逃がしをしていないか?」不安です。

いつも、不安に思う点が「取り逃がしをしていないか?」ということです。もし、こういう取り逃がしがよくあるよ。というのがあればご教授願いましたら幸いに存じます。

→この質問は保険医としての鑑や。

こういう先生が一番好きやな。

ワシも色んなクライアントのところに行くけどな、必ず、「算定漏れ」はある。

まず、保険医で一番大事なことは

「積極的に算定していくことじゃない。」
「いかにして算定漏れをなくしていくか。」

や。

よく、週刊誌で家計相談みたいなんがある。

要は「働けど、働けど、うち、貧乏なんですけど、どーしたらええですか?」

みたいな相談や。

で、ファイナンシャルプランナーが言うことは

「収入を増やしましょう!」ではない。

「支出を減らしましょう!」や。

みんな「保険じゃ食われへんから、自費も取り入れて収入アップを図りたい」とか言うてるけどな、保険ですら食われへんのにどないして自費でメシ食うんや。ってなるやろ?

それよりも大事なことはいったんは保険の算定漏れのチェックからやろな。

ファイナンシャルプランナーでいう、「支出を減らしましょう」に該当する部分やわ。

その漏れさえなくしたら、だいたいどこのクライアントも2割は売り上げアップする。

算定漏れにも大きく分けて3つある。

1、しょーもない算定漏れ
2、算定要件を知らないがためにおこす算定漏れ
3、戦略ミスによる算定漏れ

1、しょーもない算定漏れ

1、浸麻の算定漏れ
2、ブリッジの4番はFMCじゃなしに前装冠
3、ブリッジのポンティックは臼歯部でもレジン前装ポンティック
4、令和4年度からはCAD2じゃなしにCAD1

1、浸麻の算定漏れ

やってることは一緒やのにポロポロと漏れ出てくる感じやな。

で、この算定漏れの悪いところはレセコンエラーチェックにすらかかってこないことや。

たまにアホなセンセが「レセコンエラーチェックにかかれへんからエラーチェックなんかすぐやわ」みたいなこと言うてるけど、レセコンでエラーチェックできるのはごくごく僅かや。たかが知れとる。

ワシはめんどいけど、全部カルテ開けて、チェックしとる。先月との流れとか、翌月との兼ね合いもあるから、カルテやレセプトを見てみないと分かれへん。

だから、レセコンエラーチェックなんか鼻からアテにしてへんな。

で、どの医院にも必ずあるのが浸麻の算定漏れや。

で、つぎに多いのが

2、ブリッジの4番はFMCじゃなしに前装冠

④5⑥

④56⑦

④⑤67⑧

4番はFMCやなしに前装冠でいける。

ここは、知っている先生もそれなりにいらっしゃるが、レセコンの設定変更ミスでなぜかFMCで請求してしまっている。

みたいな感じでもったいないところや。

ここをとりこぼすと、かなりの痛手になるで。

前装冠やった場合は2340点

FMCやった場合は1390点

その差は950点や

9500円は泣くに泣かれへん金額やな。

だから、ここは要チェックしとかなあかんで。

3、ブリッジのポンティックは臼歯部でもレジン前装ポンティック

ここも取りこぼしの多いところや。

よくあるのが前歯部は前装ポンティックというのは知ってたけど、

臼歯部の前装ポンティックは知らんかったわ。

もしくはそこまで考えたことなかったわ。

みたいなセンセが多いで。

ちなみにほとんどのポンティックは前装ポンティックや。

今の時代、パラが高くなってるから、少しでも金属をを減らすために中をくり抜いて、そのなかにレジンを詰めとる。

それも含めての前装ポンティックになるで。

で、この算定漏れもかなり痛い。

小臼歯であれば

鋳造ポンティック1568点
前装ポンティック1768点

差額が2000円にもなる。

大臼歯は

鋳造ポンティック1939点
前装ポンティック1999点

差額は600円や。

こういうのがポロポロ漏れると痛いな。

だから、④56⑦のブリッジを間違ってたらヘタ打つと1万2千100円の損や。

なんかもー死にたくなるよな。

こんな算定漏れを起こしておきながら

「保険じゃくわれへんから、自費や」とかマジメな顔してゆーてるけど、アホかっちゅーねん。

こんなアホな算定漏れを起こしているがために、儲かれへんから「自費で」とか言われたら、患者がかわいそうや。

4、令和4年度からはCAD2じゃなしにCAD1

CADは今までCAD2のほうが高かったけど、令和4年からはCAD1のほうが点数が高くなっている。

CAD1 1388点

CAD2 1381点

その差は7点やけど、されど7点や。

この話をすると、「でも、シールが…」とかゆーてくる。

シールがいるのはCAD3および4オンリーや。

だから、1と2はシールがいれへん

つまり、…。

これ以上は言わへんけど、そーゆーことや。

2、算定要件を知らないがためにおこす算定漏れ

・無歯顎患者に対する「口腔機能低下症」
・問診票から全身疾患(例えば、糖尿病と分かっているのに)総医50点、医管45点が漏れてる。
·抜歯したら摘要コメントを書くと6ヶ月以内でも義歯新製可能。

一番多いのが無歯顎患者に対する「口腔機能低下症」や。

この話をすると、いの一番で出てくるのが

「どうせ、機材を買わないとでけへんのでしょ」や。

機材がなくても「診断」は下せるで。

つまり、「病名」はつけることができる。

「病名」さえつけれたら「歯管」を算定できますよ。

「歯管」さえ算定できたらそこから色々な加算点数がつきますよ。

具体的には、「総医」とか「長期加算」とか。

たまに、フルデンチャーで「stom」の病名つけて歯管の算定をしとる先生がおるけど、

なんか、昭和の匂いがするやろ?

それに「stom」でロングで引っ張るの怪しさ満点になるやろ?

令和の時代は「口腔機能低下症」や。

  • 対顎に9歯以上の大きいデンチャーが入っとるのに、なぜか、小さい方のデンチャーで歯リハを算定してしまっている。

よくあるのが、義歯が入っているところを全て記載していなかったがために起こしてしまうエラーや。

これはレセコンの仕様上、どのレセコンメーカーでも起こりうる算定漏れや。

例えば、上のフルデンチャーと下の小さい入れ歯。

上のフルデンチャーを新製し、セットすると、義管(困難)そして翌月以降は歯リハ(困難)が算定できる。

でも、小さい入れ歯を作り出すとまた変わってくる。

小さい入れ歯を新製してセットした時には義管の算定を行う。

ここまではかめへん。

で、問題はその翌月以降や。

小さい入れ歯の方の傷病名を引っ張り出して、そこからずーっと歯リハの算定をしてしまう。

歯リハは1口腔単位で算定するもんやから、上に大きい入れ歯があれば、大きい方を引っ張って歯リハ(困難)を算定したほうがええ。

レセコンも知っとるんやったら、そっちの方で算定を促してくれよ。って思うけど、そこまで気の利くレセコンはあれへんな。

せやのに「レセコンエラーチェック何もなかったー」とかゆーてる先生はもったいない思うで。

 

  • 抜歯したら摘要コメントを書くと6ヶ月以内でも義歯新製可能。

よくあるのが、抜歯した後に義歯修理および追歯を算定するのはかめへん。

で、そのままや。

ボケーっとしとる。

で、ワシも「これ、新製したらどないや?」と聞くけど、「まだ半年経ってへんから」とか訳のわからんことをゆーとる。

患者様もツギハギだらけの入れ歯なんて嫌やと思うわ。

サラの入れ歯のほうがエエやろ?

そんなんは患者様ファーストやアレへんな。

まー、ワシも何がファーストなんか、よう分からんけどな。

なんせ、ツギハギだらけの入れ歯を半年も入れておけって言うのはかわいそうやわ。

とりあえず、抜歯をしたら、入れ歯は半年待たなくても新製可能や。

これを知らないがためにそのままにしておくのは機会損失でしかあれへんな。

 

  • 問診票から全身疾患(例えば、糖尿病と分かっているのに)総医50点、医管45点が漏れてる。

一丁前に「で、血圧ナンボですの?」とか「ヘモグロビン何ちゃらはどれくらいですの?」とか患者の話を傾聴してる風に装いながら、医科の先生に情共で問い合わせたり、全身管理や呼吸心拍監視をしていない。

こんなもんはエセや。

患者様の話をいっこも傾聴してへんな。

問診票には書いてなかったけど、お薬手帳をみて、スタッフに調べてもらうと「センセ、この人、血糖値を下げるお薬飲んでますよ。もしかして糖尿病ちゃいますの?」みたいなんがしょっちゅうあるで。

お薬で血糖値がコントロールされてるだけで、今は大丈夫やから問診票には書いてない。っていうのがけっこう多い。

お薬の名前はよう分かれへんけどな、今の子らはスマホで簡単に調べてくれる。

医科に情共をだすのはめんどくさいかも知れへん。

でもな、これをするだけで、毎月総医の50点が入ってくる。

500円の不労所得みたいなもんや。

なにも手を動かさず、管理するだけで500円。

こんな患者が100人もおったら5万円や。

下手に借金してワンルームマンション投資するよりもよっぽどエエ商売やと思うよ。

この保険医の資格は。

3、戦略ミスによる算定漏れ

・「咀嚼機能検査」と「咀嚼能力検査」のバッティング
・歯リハと義管の関係

・「咀嚼機能検査」と「咀嚼能力検査」のバッティング

  • 例えば、グルコセンサーを購入し

「咀嚼機能検査」と「咀嚼能力検査」がバッティングしてくるケースがよく出てくる。

これはどこの先生も必ず、戦略ミスを犯してしまう。

かなり、難しい。

難しくしてる要因は2つある。

1つめは「咀嚼機能検査」と「咀嚼能力検査」は同月算定がでけへん。

2つめは先生の治療計画がはっきりしてへん。

この2つを意識したらどうすればおのずと見えてくる。

50歳以上の無歯顎の患者が義歯新製希望で来院した場合、どっちで先に攻めるんか?

「能力検査」で「低下症」の病名をつけて「口機能(100点)」おいて、今月はデンチャーは新製せずにT.condで逃げるのか?

それとも、印象→セットまで狙って同月内に「機能検査」の「咀嚼機能検査1ロ前(140点)」と「咀嚼機能検査1ロ後(140点)」を算定してしまうのか?

これは、何べんもこのような場面に出くわす。

で、あのとき、こうしておけばよかった。みたいに反省していくうちに身を持って綺麗にそつなく算定できるようになってくるで。

歯リハと義管の関係

あとは歯リハと義管の関係や。

よくあるのがT.condと新製が絡んできた時や。

例えば、T.condするときは歯リハ算定するのはかめへん。で、歯リハの算定をしつつ、同月内に義歯新製まで行くと、義管の算定ができなくなる。

義歯セットしながら、ルンルン気分で義管の算定をしようと思ったができない。

もうその時にはおそいよ。

あー、あの時、なんで歯リハの算定をしてしまったんやろか。って。臍を噛むくらい自己嫌悪に陥ってしまう。

目先の小さな利益に飛びついて、あとの大きな利益を逃してしまう。

そんなことは貧乏人のすることや。

こういうことを自分がしてしまうのは点数以上に落ち込んでしまうよな。

情けなくて。

だから、ここでも先生の治療計画がモノをいうで。

同月内にセットまで行くのなら、歯リハの算定を辞めておかなあかんし、行けへんのなら、歯リハを算定士とかなあかんし。

ボケーっと行き当たりばったりで算定するのはエエことないな。

こーゆー算定漏れはレセコンのエラーチェックでは教えてくれへん。

レセプト屋にもわかれへん。

だから、青本とか

アレ読みづらいんやったら、歯科医師会や保険医協会からでてる算定本を日頃から読む癖をつけなあかん。

自分は今日デンチャー新製したけど、もーいっぺん読んでみよ。

とか

SPTに進みたいけど、再度、歯周病のガイドライン読んでみよ。

とか

自分では分かってるつもりでも、なんべんも読み直すうちにようやく理解できることもある。

ワシも、20回読んで理解していたつもりでも、21回目で初めて本当の意味がわかる時がある。

だから、分かってても読む癖はつけとるよ。

算定漏れは誰にもでもある。

しゃーない。

それも自分の知らない間に漏れてることがよくある。

診療技術向上の勉強会に行くのはかめへん。

でも、もし、「保険じゃ儲かれへんから、治療技術を上げて、自費売り上げが上がるようにしたい」というような考えで勉強会に行くのなら、ぜひとも算定本を読み直して欲しい。

そのほうが金もかからず、今日の診療から売り上げは上がってくるはずや。

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