非モテ院長のゴミ経営記 勤務医時代(その5)
最近、産毛ボーイ達から
「本題に入る前の前フリが長すぎですけど、
めちゃくちゃ大好きです!
その分本題が少なくなって、
むしろ、続きがめちゃくちゃ気になります!」
というハードMなDMをもらった。
メールがM字に開いていった。
それほどのMだ。
多分お前らにはインリン・オブ・ジョイトイのM字開脚もSにしか見えてないのだろう。
産毛どもはインリン・オブ・ジョイトイは知らないだろうが、院長世代ならぎりぎりわかるだろう。
今日はそんなハードMな産毛ボーイのためにドSな割と早めの本題に入ってやることにする。
ヒデは普段何をしているかわからなかった。どこからともなく胡散臭い人間を理事長に引き合わせて、
高級ホテルのラウンジでなんの仕事をしているかわからない奴らで、絵に描いたモチの話をしていたり
昼間はふらっと医院の控え室に来て一緒に飯を食おうと誘って来たり
面倒を言う患者をキャイーン言わして帰したり
理事長のフェラーリを乗り回して一緒に遊んだり、
俺が会って何の意味があるのか分からない
解体屋の社長や
産廃業者の社長に会わされて一緒に飯を食ったこともあった。
俺も前述したように人生のモテボーナスステージに入っていたので多少はたまたまモテたが、割と真面目な子が多かった。
今振り返るとわかるが、なんというか、父性を求められているというか、安定や安心というバリューを求められているというのが
当時でもなんとなく、自分の中で言語化されてはいないが、感覚として感じていた。
しかし、ヒデの周りの女は違った。
みんなヒデになんというか遺伝子を求めていたというか、
その危険なオーラや、先に何が起こるかわからない、
なぞ解きのような、ジェットコースターのようなスリルを求めていたように感じた。
そしてそういう女の方が経験が豊富で男をよく知り、そして綺麗というか艶があった。
そして俺は自分のモテが単なるボーナスステージであるということを認識していたし、
自分に寄り付く女よりもヒデの周りにいるような女に求められたいと思った。
時折、そういう女と知り合う機会はあるし、やはり一緒にいて楽しく魅力的だが、
相手にとって自分は不足しているんだろうなというのも感じていたし、
実際、発展することもなかった。
俺は思い切ってヒデに弟子入りすることにした。
ヒデは勤務医とその雇い主の運転手という関係上では穏やかだが、時折垣間見せる、俺たちをも
隙あらばシノギの種にしかねない空気もまとっていた。
だが、俺の現状から抜け出したい気持ちが勝り、
昼休みヒデと飯を食ってる時に言った。
「ヒデさん、俺ヒデさんみたいにはなりたくないですが、ヒデさんみたいにモテたんで、弟子にしてください」
と。
最初の「ヒデさんみたいにはなりたくないですが」で距離をとって牽制していることを伝えておいたつもりだ。
ヒデはニヤニヤしながら面白いおもちゃを見つけたような表情で、ちょっと得意げに「ん?おぉ、ええよ」
と言った。