保険算定部

開業当初は誰しもが貧乏歯医者

開業を控える新規指導を必ず受ける開業前の先生へ
(自戒を込めて)

開業前は忙しい

肉体的にはもちろんのこと、精神的にもきます。

私もそうでした。

患者さんは来るだろうか?

・オープニングスタッフは採用できるだろうか?

・借金は返せるだろうか?

・自費は出るだろうか?

・モチベーションは続くだろうか?

などなど

あげたらきりがないくらいに、不安になるものです。

開業前は業者さんまかせなところが多いです。

設計、建築、医療機器、税務、借り入れ、内覧会などなど、私も本当にお世話になりました。

しかしながら、開業後は全ての方向性、治療、医院運営、追加採用、意思決定などを自分で行わなければなりません。

誰も手伝ってくれませんし、誰も指示をしてくれません。

そういうところで、経営者としての孤独をはじめて味わうのでしょう。

私としても、開業当初は患者さんが来ずに倒産のことばかり考えてしまいました。

その中で、どんどん来る事務作業

給料振り込み、産業廃棄物取り扱い、支払基金、国保連への請求手続き、保健所立入検査、71報告、施設基準の届け出、集団指導などなど

数えたら数限りにないです。

診療より、事務作業の方がストレスになることも多々ありました。

今思えば、実際には大したことはないですので、なんとかなりました。

開業後の私の最初のストレスは少ない患者数とスタッフ問題でした。

その事につきましては、どこの歯科医院でもあることでしょう。

開業後、患者さんが来ない→院長の機嫌が悪くなる→医院の雰囲気が悪くなる→スタッフがやめる→採用するもオープニングスタッフでないから採用困難→適当な人を採用するも、患者さんは思ったように増えない

開業初期はこんなところでしょうか。

もうひとつのストレスは、刻一刻と近づいてきているのです。

新規個別指導です。

新規個別指導は開業したら、どの医院も必ず受ける個別指導です。

歯科医師会に入会していたら大丈夫なわけではありません。

正しい保険算定をしていたら、個別指導に耐えれる状態になるのです。

歯科医師会に入会していても、むちゃな保険請求をしていたら、よくて経過観察、悪ければ再指導、ひどいと監査要件を満たしてしまいます。

保険医である以上、療養担当規則に則して診療報酬請求をしなければなりません。

よく、新規個別指導を控えているから平均点数を押さえて萎縮診療をしている先生がおりますが、新規個別指導は平均点数を押さえても呼ばれます。

私も県平均点数以下に押さえていました。

実は、あまり関係なかったのです。

平均点数を気にしなければならないのは、新規個別指導後に集団的個別指導に選定され、再度、集団的個別指導に選定されると個別指導への移行要件を満たすときです。

しかしながら、令和5年度の集団的個別指導からの個別指導は地方厚生局が忙しすぎるため、行われないとの通知が発出されています。

つまり、現在は平均点数を気にすることなく算定できると解釈できます。

話は戻りますが、開業後、患者数が少ないことは仕方がないです。

その間に、施設基準を取れるものは取り、算定要件を満たして平均点数を気にせず、萎縮診療をすることなく、療養の給付を行うことにより業績を上げるのがよいと考えます。

新規個別指導は、一週間前に対象患者10件のファックスが送られてきます。

そこで、対象月も分かります。

漫然とカルテ整理をするのは時間の無駄です。

開業前から本来した方がよかったと私が考えるのは、前勤務先の算定方法を真似するのではなく、算定について自分で勉強するか、詳しい人にサポートをしてもらう方が、業績的にも、精神的にも助かると思います。

下世話な表現をしますが、お金があり、かつ院長に極端な物欲や金銭欲がなければマネージメントはなんとかなると私は考えています。

頑張っているスタッフに、十分な給与と賞与と特別手当て、臨時手当てを適宜評価してあげるとスタッフは安定します。

患者数の少なさも算定要件を満たし、来院頻度を増やせばアポイントはなんとか埋まります。

開業前にすべき第二領域は、保険算定の熟知と戦略であると、私は考えます。

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