保険算定部

歯科医療(その2)ナンバー6

小児の口腔機能管理については、15 歳未満の未満の口腔機能の発達不全を認める者が対象となっておりますが、それ以降については、15 歳より前に管理を開始した患者についてのみ、18 歳未満まで継続可能というふうな取扱いになっております。
平成30年度診療報酬改定において、口腔機能の発達不全を認める小児のうち、特に継続的な管理が必要な患者に対する評価として小児口腔機能管理加算を新設されました。
その後、 令和2年度診療報酬改定において、歯の萌出していない患者への管理も対象に加えられました。また、歯科疾患の継続管理を行っている患者に対する診療実態と合わせて小児口腔機能管理料としました。
→加算から、料に変わったことは使い勝手がよくなったということです。料になったことで令和2年時点で48,083回と以前の2倍程度の算定回数となりました。17か月以前では食べる機能の項目を最低ひとつ、18か月以降では咀嚼機能の項目を最低ひとつ含んで、他の項目と合わせて3つ以上で算定可能となります。診断と算定要件で違いがありますので、今後は2つの項目で診断と算定が可能になるかもしれません。

日本老年歯科医学会が口腔機能低下症症について、その診断基準や病態等についてまとめた内容が紹介されています。
口腔機能低下症の診断基準としましては、口腔機能精密検査7項目中、3項目を満たした場合に診断されます。口腔機能精密検査には、①口腔不潔 ②口腔乾燥 ③咬合力低下 ④舌口唇運動機能低下 ⑤低舌圧⑥咀嚼機能低下 ⑦嚥下機能低下の7つの下位症状全ての検査が令和2年度改定時から必要となりました。このことは単一の口腔機能ではなく、各口腔機能低下の複合的要因によってあらわれる病態ということだからです。

口腔機能管理に関する資料となります。
平成30年度診療報酬改定において、歯の喪失や加齢等により、口腔機能の低下を認める患者のうち、特に継続的な管理が必要な患者に対する評価として口腔機能管理加算を新設されました。その後、令和2年度診療報酬改定において、歯科疾患の継続管理を行っている患者に対する診療実態と合わせて口腔機能管理料とされました。
対象患者は、65歳以上の口腔機能の低下を認める患者のうち、次の評価項目(下位症状)のうち、3項目以上(咀嚼機能低下(D011-2に掲げる咀嚼能力検査140点を算定した患者に限る。)、咬合力低下(D011-3に掲げる咬合圧検査130点を算定した患者に限る。)又は低舌圧(D012に掲げる舌圧検査140点を算定した患者に限る。)のいずれかの項目を含む。)に該当するものです。
令和2年6月審査分で27,114回と着実に増えていますが、まだまだ少ないです。

高齢者の口腔機能の状況です。
70歳以上の高齢者の咀嚼状況について、「かめない食べ物が多い」「一部かめない食べ物がある」と回答した者がそれぞれ約6%と約30%でありました。また、食べ方や食事中の様子では「半年前に比べて固いものが食べにくくなった」が36.6%、「口の渇きが気になる」「お茶や汁物等でむせることがある」がそれぞれ25.7と27.2%でありました。

口腔機能の低下に関連した項目に該当すると回答した者の年齢区分別の割合を示しています。50 歳頃から3項目のいずれについても増加している傾向が見られます。内容は、半年前に比べて固いものが食べにくくなった、お茶や汁物等でむせることがある、口の渇きが気になる等です。口腔機能管理の必要性が分かります。

歯科固有の技術になりますが、歯の内部にある歯髄の治療を行った歯などに、かぶせ物を装着する際には、金属や非金属の材料で支台築造と呼ばれる土台を作り、さらに歯冠部の形成が行われます。金属で行った支台築造造を行った場合と、非金属で行った場合の形成方法自体は大きな差異がない実態となっています。
支台築造はファイバーポスト等(非金属)でも可能であるが、この場合の歯冠形成時の加算の評価はないです。 他方、メタルコアにより支台築造を行った場合は、歯冠形成時にメタルコア加算30点が算定できるが、ファイバーポスト等により支台築造を行った場合の形成方法と大きな差異はないです。

歯周疾患の症状の改善を目的とした歯周組織に対する比較的簡単な診療行為として基本治療処置がありますが、平均所要時間は 2.7 分となっています。
I 011-3 歯周基本治療処置(1口腔につき) 10点は、歯周疾患の症状の改善を目的として、スケーリング(除石)等の歯周基本治療を行った部位に対して、薬剤による歯周ポケット内洗浄等の処置(歯周疾患処置を除く。)を行った場合に算定することになります。
算定回数は令和2年の時点で8,318,937回に減っています。これは、SPTに包括されていることもあるのかもしれません。

歯科に係る主な指摘事項についてです。

生活の質に配慮した歯科医療の推進等についての課題(小括)についてです。

地域包括ケアシステムの推進に関しましては、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所に係る施設基準について、小児患者を多く診療しているが、成人期・高齢期も含めてライフステージに対応した歯科診療を行っている場合の要件の在り方について。また、施設基準の選択要件に「自治体等が実施する事業に協力」とあるが、必ずしも明確に示されていないとの指摘があることから、より分かりやすく示してはどうか。また、医療機関間の連携につきましては、歯科診療特別対応連携加算について、地域の歯科診療所と歯科を標榜する病院等が機能分化・連携して提供されている実態を踏まえ、その要件の在り方について。
HIV感染に関連した口腔内の症状に関して、医科医療機関と連携しつつ対応する場合の評価。また、ICTの活用に関する検証結果を踏まえて、訪問歯科衛生指導の評価の在り方をどのように考えるのか。また、新たな感染症にも適切に対応できるように、歯科医療機関における歯科医師や職員を対象とした研修等を含めた取組についてどのように考えるのか。

歯周病安定期治療、歯周病重症化予防治療については、その実態を踏まえつつ、より分かりやすい評価体系とする観点から、評価の在り方についてどのように考えるのか。また、フッ化物洗口指導やフッ化物歯面塗布処置について、年齢等によって対象者が限定されているが、これらの治療の対象者についてどのように考えるのか。また、小児口腔機能管理料や口腔機能管理料について、口腔機能の低下がみられる年齢等の実態を踏まえてどのような対応が考えられるのか。また、歯周基本治療処置について、その内容等も踏まえた評価の在り方。また、歯冠形成等の歯科固有の技術について、実態を踏まえた評価の在り方についてどのように考えるのか。が論点として示されています。以上です。

 

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