「で、結局は抜歯後どないなったんや?」
<患者本人は大丈夫やったんやけどな。>
「Vシネが何かいらん事でもしよったんか?」
<いや、単に血を見てクラっときただけや。>
「いらん事しとるやないか。」
<まあ、そんな目くじら立てんでもエエがな。>
「そんなん完全に笑かしにかかってきてるやん。」
<そんな事あらへん、ただの生理現象や。>
そう言えば、歯科でも【血を見るのは絶対にイヤです】、てアシストに付けへんスタッフがおるな。じゃあ入職してくんなと言いたいところだが、歯科でドバドバ出血するイメージが湧かへんのもしゃーない話か。
しかし懇切丁寧に説明しても、そんなん聞いてないの一点張りでワガママ貫き通すケースもままある。ならば、こちらから募集要項に【ただいま出血大サービス中】とでも書いといたらエエんかいな?
まあ、そんなしょーもない話はエエか。
「でも、これからさらにドリリング開始してからの血を見る事になるやないか。気が散るっていうか、邪魔になって仕方ないでしかし。」
<もちろん俺もそう感じたわ。と同時に、これはビッグチャンス!これで退場して頂けるって思ってな。>
「Vシネが貧血起こして退場か・・・スタッフが担架で運んでくれたんか?想像したら余計に笑けてくるんやけど。」
<それが、結論から言うとオペ終了まで手を繋いだままやったんや。>
「Vがいらん根性でも見せよったんか?」
<シネを付けんかい。いや、彼女の方がな。『アンタ、何ちびっとるんや!』てクンロクかまし出してな。>
「治療中やろ?」
<せや。水平位からいきなり置き上がって、血を吐きながら言いよってな。>
「抜歯後に止血せんかったんか?」
<インプラントの生着には、自己血は重要なファクターやからな。必要以上の止血はダメ、絶対。>
「そんなんちゃんと掻爬したら、自然に出血は減るモンちゃうんか?」
<屁理屈ばっかり言うな、ちゃんと掻爬して不良肉芽の除去をしとるわ!>
「でも血を吐いとったんやろ?ちゃんと掻爬できてないやん。」
<お前は、俺の処置にケチを付ける気か?>
またや、一日に何回キレたら気が済むんや。
「カルシウム不足ちゃうか?他人に骨補填する前に、自分の骨を頑丈にした方がよろしいんちゃうか?」
<あんましょーもない事ばっか言ってると、シバくぞ?>
アウトレイジのビートたけしみたいな顔になってきた。エエ加減煽るのは止めといた方が良さそうやで。
自らの直感の囁きに従い、とりあえず80%の力でコマネチをしておいた。
