「電話口では何て言ってたん?」
<まずは、『先生!一体どういう事?』ていちゃもん付けてきてな。>
「いちゃもんちゃうがな、正当な意思表示やろ。」
<のっけからそれじゃ、建設的な話が出来へんやないか。>
「建設的な話じゃなく、ただ単に『先生、この落とし前どないして付けてくれんねん!』て言いたい訳やろ?」
<そんなん、全く話の解決になれへんやんか・・・>
「クレーム対応する時って、いっつもそんな感じなん?」
<いっつも、て言うな!レアケースや!!>
「レアでもミディアムでも何でもエエんやけどな。クレーム処理の第一歩は、患者の訴えに真摯に耳を傾ける事やで?」
<言いたい事を言わせたらスッキリして、とりあえず怒りが治まるパターンやろ?>
「その前に、大切な事がある。」
<何や?>
「1対1で対話しない事や。」
<どういう事や?>
「数の原理、てヤツや。数的有利の状況の方が、こちらに有利な言質を取りやすい。」
<そんなん、通用するんか?>
「もちろん、患者様の事は最も尊重するで?建設的な話をするためにも自院に来て頂いて、少し狭い部屋にお通しして、とりあえず2~3人のスタッフと一緒に真摯に話をお聞きするんや。」
<・・・それ、恫喝とちゃうんか?>
「アホ抜かせ。冷静に話をするためのセッティングや。お見合いと一緒や。シチュエーションで勝負が決まる事もあるやろ。」
<まあ、トラブルが発展する訳じゃなかったらエエやろうけど。>
「あくまで一例や。もちろんクレームの質にもよる事や。なんにせよ、話はしっかり聞く。スッキリして頂くのは基本やからな。しかし・・・」
<しかしもかかしもあるかい、何や?>
「今回のケースは、それ以前の話やけどな。」
<それ以前?>
「せや。いくらクレームを全て吐き出したところで、そんな事で満足する訳がない。ケリつけるまでクレームの嵐は止まんで?」
<・・・>
「吐いても吐いてもノンストップや。考えただけで逆流性食道炎になるで」
<・・・ケリって何や?>
「それはお前が直面しとるんちゃうか?」
<それがまだ、クレームの真っ最中や。ただ、それこそ質は変わってきてるけどな。>
「質が変わってきてる?」
<せや、金銭的な話や。>
「治療費や慰謝料の話か?」
<いや、治療費のみや。耳を揃えて返してもらおか、てな。>
「慰謝料は無しか・・・ふむ。」
<何やねん、ふむって?>
「これから大変やと思ってやな・・・」
<縁起でもないこと言うなや!>
「で、治療費はどうしたんや?」
<ギャーギャーうるさいから、初診からかかった分、保険も含めて全額返したわ。>
「全額?そこまでする必要はないやろ。」
<あの女だけが相手ならな。しかしここぞって時に、切り札のVシネが登場してきてな・・・>
