〔プルルルル・・・〕
突然、室内に電話が鳴り響いた。
誰や、こんな時間に?時計の針は既に午前0時を
さしている。
【ガチャリ】
「何の勧誘や、コラ?こっちはもう寝とんねん!」
今時、家に固定電話を置いといて良い事は何一つ
無いように感じる。ロクな電話が掛かって来ない
からだ。
<いや、勧誘ちゃう。俺や、俺!>
「どこのオレオレ詐欺や。やり方が古過ぎるんじゃ!」
そう言って切ろうとした瞬間、
<ちゃうちゃう、俺や!野崎や。>
野崎?あぁ、大学時代の同級生や。久しぶり過ぎる
わ。技官になってからというもの、大学時代の知人
友人からはロクな電話がかかって来ない。
学生時代に設置したまま、成り行きで放置している
固定電話を眺めながら、受話器を叩き付けたい衝動
に駆られる。
「野崎?どこの野崎や!名簿でも手に入れてカタっ
とるんか?ポリに付き出したろか、コラァ!」
<だからちゃうって、須藤!
ほら、ワンダーフォーゲル部の野崎や。>
「馴れ馴れしく呼び捨てにすんなや!
そんな知り合いおらんわ、このワンゲルが!」
<・・・どうやったら信じてもらえるんや?
なあ、須藤。>
しつこいヤツや。ほんまの詐欺電話やったら、
とっくに向こうから切っとる展開やで。
それにこいつが野崎本人という事は、既にその
雰囲気で分かっている。一度友達になった人間
は、記憶から完全には消えないという事か。
しかし野崎か・・・我らが紀州のドンファンこと
野崎氏を、小学生でも分かるような毒殺したのが
、元妻で元AV女優の須藤被告やったな。
須藤の名を汚しよって。おかげで、いらん風評被害を被ったわ。
「まあ一応、野崎やと思って話を聞いとこか。」
<す、すまん、こんな早く寝てると思わんかったわ
。学生時代は常に夜更かしして、講義中よく寝とったやないか。>
「何年前の話をしとんねん。10年も経てば、人間は変わるモンやろ。」
<せやな、すまん。かく言う俺も色々変わったんや。>
野崎が卒後、医療法人での5年に渡る勤務を経て
開業した事を教えてくれた。
患者も多く、今は勤務医を雇用しているみたいや。
大まかな話では保険と自費は半々、てとこみたいやな。
「景気良くやってるやんか。」
<まあな。>
「でも前菜はもうエエで、余計眠たくなるわ。
早速メインディッシュ頂いてよろしいか?」
<うっ・・・実は相談に乗って欲しい事があるんや。>
この時間、声のトーン、話し方・・・
明らかに良くない相談や。分かりやす過ぎる。
いや、そもそも人間って誰もがこういうモンか。
ここを上手く突けるかどうかで、売れっ子占い師に
なれるかどうかが決まるんやな。
ほんま世の中、頼る人間と信じる人間を間違えると
、大損こく仕組みになっとるな。
「何や、お前程の男が珍しく弱気やないか。何の相談や?」
占い師になった気分で聞いてみる。
<お、おう。実はな・・・>
