トラブルはいつも突然に

トラブルはいつも突然に~①~

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〔プルルルル・・・〕

 

 

突然、室内に電話が鳴り響いた。

 

 

 

誰や、こんな時間に?時計の針は既に午前0時を

さしている。

 

 

 

【ガチャリ】

 

 

「何の勧誘や、コラ?こっちはもう寝とんねん!」

 

 

 

今時、家に固定電話を置いといて良い事は何一つ

無いように感じる。ロクな電話が掛かって来ない

からだ。

 

 

 

<いや、勧誘ちゃう。俺や、俺!>

 

 

「どこのオレオレ詐欺や。やり方が古過ぎるんじゃ!」

 

 

そう言って切ろうとした瞬間、

 

 

<ちゃうちゃう、俺や!野崎や。>

 

 

 

野崎?あぁ、大学時代の同級生や。久しぶり過ぎる

わ。技官になってからというもの、大学時代の知人

友人からはロクな電話がかかって来ない。

 

学生時代に設置したまま、成り行きで放置している

固定電話を眺めながら、受話器を叩き付けたい衝動

に駆られる。

 

 

 

「野崎?どこの野崎や!名簿でも手に入れてカタっ

とるんか?ポリに付き出したろか、コラァ!」

 

 

<だからちゃうって、須藤!

ほら、ワンダーフォーゲル部の野崎や。>

 

 

「馴れ馴れしく呼び捨てにすんなや!

そんな知り合いおらんわ、このワンゲルが!」

 

 

<・・・どうやったら信じてもらえるんや?

なあ、須藤。>

 

 

 

しつこいヤツや。ほんまの詐欺電話やったら、

とっくに向こうから切っとる展開やで。

 

それにこいつが野崎本人という事は、既にその

雰囲気で分かっている。一度友達になった人間

は、記憶から完全には消えないという事か。

 

 

 

しかし野崎か・・・我らが紀州のドンファンこと

野崎氏を、小学生でも分かるような毒殺したのが

、元妻で元AV女優の須藤被告やったな。

 

 

須藤の名を汚しよって。おかげで、いらん風評被害を被ったわ。

 

 

 

「まあ一応、野崎やと思って話を聞いとこか。」

 

 

<す、すまん、こんな早く寝てると思わんかったわ

。学生時代は常に夜更かしして、講義中よく寝とったやないか。>

 

 

「何年前の話をしとんねん。10年も経てば、人間は変わるモンやろ。」

 

 

<せやな、すまん。かく言う俺も色々変わったんや。>

 

 

 

野崎が卒後、医療法人での5年に渡る勤務を経て

開業した事を教えてくれた。

 

患者も多く、今は勤務医を雇用しているみたいや。

大まかな話では保険と自費は半々、てとこみたいやな。

 

 

 

「景気良くやってるやんか。」

 

 

<まあな。>

 

 

「でも前菜はもうエエで、余計眠たくなるわ。

早速メインディッシュ頂いてよろしいか?」

 

 

<うっ・・・実は相談に乗って欲しい事があるんや。>

 

 

 

この時間、声のトーン、話し方・・・

明らかに良くない相談や。分かりやす過ぎる。

 

いや、そもそも人間って誰もがこういうモンか。

 

 

ここを上手く突けるかどうかで、売れっ子占い師に

なれるかどうかが決まるんやな。

 

ほんま世の中、頼る人間と信じる人間を間違えると

、大損こく仕組みになっとるな。

 

 

 

「何や、お前程の男が珍しく弱気やないか。何の相談や?」

 

 

占い師になった気分で聞いてみる。

 

 

<お、おう。実はな・・・>

 

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