トラブルはいつも突然に

トラブルはいつも突然に~②~

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<ところで須藤、技官になったんやってな?>

 

 

 

技官になってから、何回も聞いたセリフや。

エエ加減、ミニにタコですわ。

 

 

とはいえ、また個別指導の相談か?全く、何十年も

会ってない旧友には気を付けろ、てよく言うけどな。

 

技官になってから、よくこのパターンにお目にかかるんや。

 

 

 

「どこでそれ聞いたんや?まあ、その通りやけどな。」

 

 

<色んなところからな。技官ってロクな噂聞かへん

けど、須藤はまるで仏みたいや、て噂が立っとるで。>

 

 

 

電話口からでも、おべんちゃらの臭いがプンプン

する。そもそも普段から技官ってだけで、どこ行

ってもヨイショされるんや。

 

おかげ様で、本音と建前の区別くらい容易に付く

ようになったけどな。

 

よくそれを額面通り受け取って調子こいとる技官が

おるけどな、そういうヤツはたいてい人生で一度も

モテた経験がない素人童貞やろう。もしくは生粋の

いじめっ子や。

 

 

おっと、これはオフレコやで。

 

 

 

「嬉しい事言ってくれるやないか。」

 

 

よっしゃ。今日は、ノセられたフリして攻めていこか。

 

 

 

<で、本題なんやけどな。>

 

 

待て待て、お前もガマン汁出し過ぎや。もうちょっと泳がせんかい。

 

 

「個別指導にでも当選したんか?」

 

 

<縁起でもない事言わんといてや。ちゃう、また別の話や。>

 

 

 

そう言えば、野崎との思い出が一つあったで。

 

 

「何や、こないだも個別指導に選定された同級生

から連絡あったとこやから、てっきりそう思った

わ。ほら、昔一緒に芦屋で合コンした時におった○○や。」

 

 

<あぁ、あいつか。あの時の娘と結婚したらしいな?>

 

 

 

詳しくは、コラム:【ある開業医の話】にて。

 

 

 

一通り昔話に花を咲かせ、いよいよ本題に入る。

 

 

「で、その本題は?」

 

 

<なあ須藤。お前さぁ、インプラント打った事ある?>

 

 

どこが本題や。卒業して間もない頃みたいな、マウントカウパーを放出してきた。

 

 

「え?インプラント?打った事ないし、そもそも詳しく知らんし・・・」

 

 

とりあえず知らん振りをしておいた。インプラント

はそれなりに勉強して埋入してきたので自信のある

ネタではあるが。マウントの取り合い程虚しく無駄

な時間は無いからな。

 

 

 

<そうなん?俺はさぁ、月に30本は打ってるで?>

 

 

今さら全くもってどうでもエエ自慢話をしてくる。

これはこれで無駄な時間や。さらに放っておくと、

これが延々続くという事はオレも痛い程経験済みや。

 

 

「インプラント埋入本数を教えたくて電話してきた

んか?せっかくやけどあんま興味無いから、もう切

ってよろしいか?」

 

 

<い、いや、待ってくれ。そんなしょーもない話ちゃうんや。>

 

 

たった今、そのしょーもない話で鼻を伸ばしてたのはどこのどいつや。

 

 

「さっさと言ってくれへんか?マジで眠たいんやけど。」

 

 

<実はな・・・>

 

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