通天閣の目と鼻の先に、なんと星野リゾートが開業した。
血迷ったとしか考えられない選択だと思われるが、コロナ禍前のインバウンド需要を見越しての事だろう。万博もあるしな。最寄りの新今宮駅からは、関西国際空港まで直通で行けるし、後は外国人観光客さえ戻って来てくれればエエんやけど。
てか、日本人であんなエリアにわざわざ泊まりたい観光客がいるのか疑問に思うが、あの社長の事や。あの手この手であの超ディープスポットを盛り上げてくれるんやろな。
知らんけど。
盛んに西成区を盛り上げると触れこんでいるが、この星野リゾートも通天閣も所在地の住所は浪速区に位置づけられる。まあほとんど変わりはないか。
ちなみに全国的に有名なあいりん地区は、それこそホテルからすぐの場所にある。観光客が紛れ込んだらどないすんねん。
あそこは日本有数のファンキータウンやぞ。
などと考えているウチに、世界の大温泉スパワールドの階下に辿り着いた。
約二駅分の散歩をした甲斐あってか、野崎の表情も精気を取り戻している。
しかし心なしか元気が無い。
よっしゃ、少し汗もかいたし、ここはさらなる気分転換にスパワールドでひとっ風呂浴びてから呑むとするか。
渋る野崎を半ば強引に誘い、入口へと向かう。通天閣の中もそうだが、キン肉マン押しが強い。思わず懐かしい気持ちになるで。ゆで理論が好きな人にとっては、堪らんやろな。
知らんけど。
今はしばらく行っていないので分からないが、当時は多くの客で賑わっていた。
今日はどうやらヨーロッパ風呂のようだ。ヨーロッパ風の内装が施された比較的大きな
浴場だ。思ってたのと違う。がっかり名所とはこの事か。
まあエエ、とりあえず全裸になる事で開放的な気持ちになったで。体を洗い、ゆっくりと湯船に浸かっているうちに、野崎も元気を取り戻してきた。
やはりお悩み相談は、風呂を挟むとスムーズに進む。これは普遍の真理や。
スッキリしたところでキリ良く風呂から上がり、スパワールドを後にする。
そう言えば昔友達に聞いた事のある話だが、このスパワールドには毎年夏になると、それこそ大量の客で一杯になるプールが常設されている。通称【スパプー】や。
しかし人が多過ぎるせいか、水が濁って緑色をしているらしい・・・一体何のダシが出とるんや。
真夏の怪談より、よっぽど恐いホラーやで。
スパワールドから通天閣へと向かう長い階段を下り、あらかじめ目星を付けておいたビリ
ケンさんの置きモノが店頭に飾られている居酒屋に入る。
店員が皆ヤンキーのように目が血走ってなおかつ適当な臭いがするが、仕方ない。このエリアで一般大衆店のような接客を望む事が、そもそもの間違いだからだ。
とりあえず生ビールで乾杯し、いよいよ本題へと突入する。
