駆けつけ三杯とはよく言ったもんや。あっという間に場が温まってきたで。
とりあえず串カツとサービスのキャベツで小腹を満たした。このキャベツ、堅いわマズいわ。
made in どこや。てか二度漬け禁止のソースって、逆に不潔に思えてしまう。
分かってはいる事だが、ジェントルマンだけについ文句が出てしまう。アカン、これこそTPOや。
気持ちを切り替え、話を振る。
「患者の話も聞きたいんやけど、それよりさっきの喫茶店で何であんな気が動転してたん?」
<そんな事ないわ!>
「いや。動機・息切れに、きゅ~しんきゅ~しん状態やったで。」
<そうか、そうだったのか・・・>
オレの渾身のギャグにピクリともしない。どうやら本当にきゅ~しんが必要なようだ。
「あの萬田銀次郎が登場したと思ったら、ひきつけ起こしよってからに。」
<いや・・・トラウマとは恐ろしいもんやで。>
「トラウマ?」
<せや、エラい目を見てな。>
「昔の患者か?あいつにクンロクかまされたんか?」
<現在進行形や。>
「?」
<あの萬田はんは関係あらへん。あれと同系列のヤカラに詰められててな。>
「下歯槽神経麻痺の患者以外にも、同時多発トラブルですか?」
<いや、同じ患者や。>
「確か・・・40代女性、て言ってなかったか?」
<麻痺を起こしてしまった相手はな。>
「どういう事や?」
<つまりは単純にそういう事や。>
「ハニートラップ食らったんか?」
<違う違う、そうじゃ、そうじゃない。>
「兄弟か?」
<情婦や。>
「?」
<だから、ヤ○ザの情婦や。>
「マジっすか?」
<マジっす。>
「何かVシネみたいやん!何でもっと早く言ってくれへんかったん?」
<面白がるな!笑い事ちゃうんや!>
これが面白くない訳がない。しかしこの状況で、冷やかす訳にもいくまい。
「どこでそれが発覚したんや?」
<インプラント埋入時や。>
「それまでに気付かんかったんか?」
<そんな雰囲気は無かったんや。>
「いや、そういうタイプって何となくそういう臭いするんちゃうか?」
ちなみにそういう意味でのオレの嗅覚は、Vシネを愛するあまり警察犬よりも鋭くなってしまった。
知らんけど。
<ちょっとケバい感じはしたんやけど・・・水商売風ではあったけど。>
「十分臭っとるやないか。ああいうタイプの自費治療は、ババ引かんでも難儀な事あるで?」
<それは重々承知や。しかし、な・・・>
「しかし?」
<あんなオマケが付いてくるとは、予想の斜め上をいってたで・・・>
・・・何か、野崎には申し訳ないけどワクワクしてきたで。
