トラブルはいつも突然に

トラブルはいつも突然に~⑱~ 

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<初診時には特にそんな前兆はなかったんや。>

 

「普通やったんか?」

 

<おう、普通にケバいだけやったで。>

 

「それ以外は?Vシネ臭くなかったか?」

 

<どんな臭いやねん。胡散臭い感じはしたりしなかったりやったかな・・・>

 

「じゃあ、何でわざわざインプラントなんかに手を出したんや。」

 

<GPとして当然の話やないか。左下7番(注:前述の6番は誤り)が完全に歯根破折を起こしててな。>

 

「抜歯は止むを得ないな。」

 

<もちろん。だから当然の流れとして、抜歯後のコンサルテーションをしたんや。>

 

「どんな風に?」

 

<それこそ普通や。そのまま何もせず経過観察、カンチレバーブリッジ、1歯デンチャー、インプラントの説明をな。>

 

「自費をゴリ押ししたんか?」

 

<ゴリ押しなんかしてへん。それぞれの治療そのものに対してのメリット・デメリット、保険と自費のメリット・デメリットを十二分に説明したんや。>

 

「で、インプラントを選択したんや。」

 

<まあ金銭面で渋ってたけどな。>

 

「そういうのには手を付けへん方がええんちゃうか?」

 

<コンサルテーション、てのはそういうもんや。迷った時にはそっと背中を押してあげるんや。>

 

「二つ返事で高い金払う患者の方が、揉め事は少ない気がするんやけど。」

 

<そんなチキンな事言ってどないすんねん!患者様に最良の治療を提供するのが俺達の使命やろが!>

 

「まあ自分さえ納得してれば何でもエエんやけどな、それでその後は?」

 

<じゃあ順を追って話したろか?>

 

「よろしく頼んますわ。」

 

<まずはコンサルテーションで、抜歯即時埋入が決定した。>

 

「さすが、難儀な事やっとるやないか。」

 

<まあな、インプラントロジストの本領発揮や。>

 

またそれか。

 

<ソケプリして待時埋入でも良かったんやけどな。>

 

「ソケプリ?何のアプリや?」

 

<相変わらずオモロないヤツや。>

 

「だから何やねん、それ。」

 

<ソケットプリザベーションや。>

 

 

もちろん知っとるけどな、ここは野崎に気持ち良く泳いでもらわなアカン。

 

 

「あ、あぁ。それね、それ。」

 

<勉強不足ちゃうか?>

 

「もっと教えてくれへんか?」

 

<勉強熱心なのはエエ事や。いいだろう。>

 

 

串カツを食べながら、一通りソケットプリザベーションの講義を受けた。

 

 

嬉しそうな顔をしている。やはり、お悩み相談は相手に良い気分になってもらわなアカン。

より詳しく饒舌になってもらわんと、実態は見えてこーへんからな。

 

 

「ふむふむ。で、抜歯即時埋入を選択した理由は?」

 

<患者様にとって、治療期間の短縮は極めて大きなメリットや。なるべくすぐ噛めるようにして、患者様のQOLを考慮した選択や。>

 

「クオリティー・オブ・ライフか。誠意を持ってインフォームド・コンセントして、患者様とのラポールを構築した訳やな。さすが、デジタルデンティストリーやんか。」

 

適当に口から出まかせを言う。

 

<せやねん、そこが俺の人気の一つや。>

 

「それはどっちでもよろしいんやけどな。で、トータルでなんぼチャージしたん?」

 

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