「で、そこからどうフィニッシュしたんや?」
<・・・>
相変わらず金魚のパクパクをしている。心がここにない。
仕方ないな・・・
パァン!
<ビックリしたぁ!何すんねん!!>
「横綱白鵬の猫だましや。目は覚めたか?」
<しょーもない事すんなや、起きとるわ!>
「その割に別の世界にイっとる様な顔しとったで。大丈夫か?」
<どこの世界や。俺はずっと新世界におるわ!で、何の話やったっけ?>
「その日はどう完了したんや?て話や。」
<あぁ、そやったな。とりあえずドリリング後にフィクスチャー埋入したんや。>
「何も言われんかったんか?」
<〔何やねん、そのネジは?〕て聞かれたけどな。>
「いちいちしゃしゃり出て来な気が済まんのか?」
<いや、ホンマそんな感じや。何かにつけて絡まれたで。>
「まぁでもさすがは野崎先生やな、そんな中でもきっちり時間内に処置を終えるんやから。」
<まぁ制限時間ギリギリ、てとこやったけどな。>
得意のドヤ顔をしている。
「オレやったら途中で頓挫しとるケースやで、ホンマ。」
<まあインプラント治療は心技体の集合体が必要とされるからな。ロクに埋入してない先生には、このケースをこなす事は難儀でしかないやろ。>
相変わらずおだてには弱いヤツや。こういった担ぎやすい人間が一人でもおると、楽なんやけどな。自分から率先して神輿に乗って、エエように動いてくれるヤツが。
しかしそれにしても、切り替えが早いヤツや。さっきみたいに金魚モードに入ったかと思ったら、もう上機嫌や。すぐにでもマウント取ってきそうな勢いやで。
個別指導でもこれくらい切り替えの早い先生の方が、確実に、且つ正確にタスクをこなして下さるもんや。何でもそうだが、いつまでも引き摺るようなスタンスじゃ、損するだけしか道は残されてないで。
「ホンマにそうやな、特にそんなVシネがセットじゃ、色んな意味で恐くて手を付けられへんで。」
<性悪技官がよく言うやないか。個別指導で、もっとややこしい先生の相手をしとるんちゃうか?>
「Vシネみたいな先生は、そんな多くお目にかかれへんで。まあ、それなりに免疫は出来とるけどな。」
<覚悟が足りひんのちゃうか?目の前の患者様のために己の心技体を費やす。これが、歯科医師としてのあるべき姿や。>
どんどん調子に乗って来ている。Vシネは単なる付き添いやないか、とツッコミみたい気持ちを押さえた。
なぜなら、そろそろこの話の核心に迫らなければならないからだ。
