トラブルはいつも突然に

トラブルはいつも突然に~④~

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南海なんば駅に到着した。

 

いわゆるキタと呼ばれる梅田周辺は、どうしても

オレにとってはシティーを強く感じてしまう場所だ。

 

 

それよりも、ミナミのこの混沌とした空気の方が

オレには合っている。自然とテンションが上がる。

 

 

 

スイスホテルに繋がるエレベーターに乗り込み、

6階にあるロビーを通過する。

 

 

 

<おはよう!久しぶりやな。>

 

 

ラウンジに到着すると、既に野崎が席を確保して

くれていた。窓際の少し奥まった角のとこや。

 

店内全体を見渡せる、コソコソ話をするには絶好の

ポジションやな。こういう時には望ましい、エエ場

所を押さえている。一つウエノ男やで。

 

 

そして当の野崎本人はというと、見た瞬間に目を引

く程こんがり日焼けをしている。

 

・・・野崎、お前もか。

 

 

「おはよう。こちらこそ、久しぶりやな。」

 

 

技官として、胸を張り背筋を伸ばして対峙する。

 

 

<何か雰囲気変わったやんか。>

 

 

「それはお互い様や。そう言うお前は、エラい自信

に満ち溢れてるやないか。」

 

 

<まあ、それ程でもないけどな。>

 

 

個別指導も含め相談を受ける際は、まず相手に胸襟

を開いてもらう事を心掛けている。

 

まずはリラックスして頂き、正確な状況という

ものをお話して頂く必要があるからだ。

 

 

 

席に着くと同時に、ウェイトレスからホット

コーヒーが差し出された。

 

野崎があらかじめ頼んでおき、タイミングをみて

合図してくれた模様や。

ご丁寧に、サンドウィッチも一緒やで。

 

味なマネを・・・お前は、二つウエノ男に昇格や。

 

 

 

文字通り一息ついたところ、テーブルには既に

何らかの資料が用意されている。

 

 

ま、まさか、相談を装ったネズミ講の勧誘ちゃう

やろな?

 

思わず恋石達也先生のコラムが頭をよぎる。

 

 

すると、おもむろにノートパソコンを開いてパノラ

マとデンタル、そしてCT画像を見せてきた。

 

 

それぞれ術前、インプラント埋入後、そしてどうや

らインプラント撤去後の画像が展開されている。

 

 

良かった、ちゃんとした歯科の相談みたいや。

 

 

 

「いや、ちょっと待ってや。先日の電話ではガマン

汁ばっか出しとったくせに、いきなり本番かいな。

このサンドウィッチ頂いてからでよろしいか?」

 

 

<・・・よろしいで。>

 

 

うん、旨い。やっぱり朝から頭使う時は朝ごはん食

べなアカンな。いつも朝食を抜いている身としては

、たまに食べる朝飯が堪らないほど美味しく感じる。

 

 

「ご馳走様でした。では早速、チェックしていこか。」

 

 

一体何のチェックや、と思いつつ上からでも下から

でもない、絶妙な目線でクンロクをかます。

 

こういう時は、技官としての経験が役に立つ。

 

<まずは、これらの画像診断からお願いしま。>

 

 

何か、昔を思い出してワクワクしてきたで。

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