トラブルはいつも突然に

トラブルはいつも突然に~⑩~

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アカン、やっぱり赤玉ポートワインでは全く酔わへ

ん。酒を呑んでいる気がしなくて物足りなくなって

きた。しかし、さすがのオレもこの状況で生ビール

や日本酒を呑む訳にはいかない。

 

TPOを上手くこなすのが、大人のダンディズムや

からな。技官として、みっともない格好を見せる事

だけは避けなければならない。

 

説得力が無くなってしまうからな。

 

まあ程々に気分が良くなっているこの状況で、満足

しといてやるか。

 

 

 

「で、肝心の患者からのリアクションは、その後

どうなったんや?」

 

 

<それが問題や。そこからさらに二週間後、術後か

らは数えて24日後になっても痺れが取れへんくて

な。いや、痺れの度合いが強くなってきた、て言い

出してな。>

 

 

「約三週間か。確かにやっかいなケースやな、

ご愁傷様です。」

 

 

<やめろや、縁起でもない。まだこのケースは完結

してないんや。>

 

 

「分かっとる。現在進行形じゃなければ、わざわざ

オレにこんな話せんやろがい。」

 

 

<・・・まあな。ただな、話を聞いてもらってるこ

の瞬間だけは楽な気持ちになって、ちょっとばかり

心が軽く感じるてるんや。>

 

 

 

・・・分かるで。悩みは一人で抱えても何もエエ事

あれへん。信頼できる相手に打ち明けて、せめて気

持ちだけでも楽に、軽くしないと。

 

 

精神的にバランスを崩すと、普段通りのパフォーマ

ンスすら出来へんようになってしまう。そして、さ

らなる泥沼に嵌っていくんや。

 

 

ほんの一瞬の現実逃避でもエエんや。どうせイヤで

も現実と向き合わんとアカンのや。一瞬でも現実を

忘れられれば、より覚悟を決めて現実のトラブルと

堂々と向き合えるようになるんや。

 

 

 

と、野崎のメンタルヘルスについて真剣に思いを馳

せた。喫茶店の窓から見えるファッションヘルスの

看板を眺めながら。

 

 

相合橋周辺には、怪しいお店がいっぱいあるんや。

 

知らんけど。

 

 

 

「で、どんな対応したんや?」

 

 

<口腔外科に紹介するのが一番平和的な解決なんや

ろうけどな、臨床家としてのプライドが、それを許

さへんかったんや。>

 

 

「すぐに口外に送らへんかったん?」

 

 

<まずは、インプラントの研修会で学んだガイドラ

インに則ってから、それでダメだった時に送ろうと

したんや。>

 

 

「そんなんせんと、さっさと送ったら方が良かった

んちゃうか?それが患者のためになるし、お前にと

っても精神衛生上良かったんちゃうか?」

 

 

<そこで不信感抱かれて、あらぬ展開になったらど

ないすんねん!自院のトラブルは自院でカタ付ける

、これが一番患者のためになるんや。>

 

 

間違いではないと思うが・・・正解が分からんよう

になってきた。

 

信頼関係が築かれた患者ならそれでエエと思うが、

逆にさっさと専門医に送る方がエエとも思うし…

 

 

むしろ関係の浅い患者こそ、粘ったほうがエエのか

?いや、逆か?

 

 

まあこういう展開でこそ、これまでくぐってきた

修羅場での経験がモノをいうんやけどな。

 

 

しかし考えれば考えるほど、複雑になってくるで。

 

シンプル・イズ・ベストとはよく言ったもんや。

 

 

「Don’t think , just a feel.」

 

ブルース・リーも上手い事言ったもんやで。

 

 

 

まあ【患者】と一言で表現しても、千差万別やから

な。正解はないか。

 

イヤ、正解は結果の中にのみあるもんか。

 

 

ならば、その結果を教えてもらわなアカンな。

 

 

 

「で、結局どうなったんや?」

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